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西アフリカ選抜チームの日本に遠征に向けてのクラウドファンディング開始

今年の6月末~8月に西アフリカの野球選手やコーチ12人を日本に呼び、
日本各地で試合をする西アフリカベースボールプロジェクトが計画されている。

青年海外協力隊の初代野球隊員として2008年からブルキナファソに赴任していた出合祐太氏を中心に進められているプロジェクトだ。

昨年の12月にブルキナファソにて行われた西アフリカ選抜チームを決めるためのトライアウトには、
ブルキナファソの他にガーナやコートジボワールからも選手が集まった。

トライアウトの結果、ブルキナファソからは7名の選手と1名のコーチ、ガーナとコートジボワールからはそれぞれ2名の選手が選ばれた。
ブルキナファソからは、現在高知ファイティングドッグス所属のサンホ・ラシィナ選手の他に過去に来日経験のある選手が多数選ばれている。

選抜チームは北海道を中心に関東や高知など日本全国を周って試合をする予定となっており、
現時点で確定している対戦カードは、

vs札幌大学(7月9日)
vs北海道日本ハムファイターズ(7月17日 室蘭市新日鉄球場)
vs高知ファイティングドッグス(7月19日~25日 高知県越知町)


となっている。

https://www.youtube.com/watch?v=WVRa9K2A6dg
こちらは西アフリカベースボールプロジェクトの動画。

https://readyfor.jp/projects/Burkina

西アフリカベースボールプロジェクトのクラウドファンディング
プロジェクトの詳細が記載されております。
3月31日までに350万円が集まらないとこのプロジェクトを実行することができないとのこと。

よければ、ご協力をお願いします。
(高橋弘行)
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欧州で新たなプロリーグが誕生、支援実施を申し入れました

 去る5月8日、オランダ・アムステルダムにて欧州のトップクラブの関係者らが集まり、新連盟「欧州プロ野球協会(European Association of Professional Baseball, EAPB)」の旗揚げと、その傘下での新たなプロ野球リーグ「ユーロリーグベースボール(Euro League Baseball, ELB)」の2016年4月からのオペレーション開始が決議・宣言されました。

http://www.euroleaguebaseball.com/

 この歴史的な会合には、ウィム・バンデンハーク会長(リック・バンデンハーク投手(ソフトバンク)の実父であり、息子が立ち上げたヨーロッパビッグリーグツアーでも実行委員長を務めた人物)と創業者のヤン・マールテン・コップス氏、広報官のヤン・ヴァンデルサンデ氏の3者に加え、T&Aサンマリノ・タイタンズ(サンマリノ)からマウロ・マゾッティ氏、ルーアン・ハスキーズ'76(フランス)からキーノ・ぺレス選手兼任監督とオーウェン・オザニック投手、ヴァッセン・パイオニアーズ(オランダ)からコー・ハスペルス氏とピーター・ファンクルースター氏、キュラソー・ネプチューンズ(同)からジェリー・ヴァンデンオーバー氏が参加。初年度のリーグラインナップを下記の通りとすることがアナウンスされました。

・T&Aサンマリノ・タイタンズ
・ヴァッセン・パイオニアーズ
・キュラソー・ネプチューンズ
・ルーアン・ハスキーズ'76
・セナート・テンプライアーズ(フランス)
・C.B.サンボイ(スペイン)
・ベースボール・バルセロナ(スペイン)
・レーゲンスブルグ・レギオネーレ(ドイツ)
・ハイデンハイム・ハイデコッフェ(ドイツ)※
・UGFフォルティチュード・ボローニャ1953(イタリア)※

※現時点では正式な加盟メンバーではないものの、近日中のサインアップが確実視されるクラブ

 ここにリストアップされた10球団は、各々の球団のビジョンや予算、地理的分布などを考慮されて加盟が決定したものですが、いずれも欧州球界を代表する強豪クラブ。たまたま組織上はセミプロという立場をとってきましたが、いずれも各国の現役代表選手やプロ経験者を多数揃え、フィールドオペレーションの部分では既にセミプロの域をはるかに凌駕している球団ばかりです。彼らが一発勝負であればトップレベルの国々とも互角以上に戦えることは、今春の日欧野球における欧州代表が既に証明済み(むしろ、あの2試合でともに善戦以上の戦いを披露できたことが、関係者たちの心に火を点けたのかもしれません)。

 欧州球界においては、大陸を横断した形で争われるプロリーグの立ち上げは長きにわたって渇望されてきました。「欧州における野球が、マイナースポーツからメジャースポーツへのブレークスルーを果たすこと」「メキシカンリーグなどに次ぐ程度の立ち位置のプロリーグが誕生し、移籍市場において新たな選手の流れが生まれること」といった点でELB構想実現には大きなメリットがあり、また国際オリンピック委員会(IOC)のお膝元であるヨーロッパでのリーグ戦ということで、間接的には五輪復帰運動に対してもポジティブな影響をもたらすことになるでしょう。

 もちろん、リーグ戦の開幕までには非常に多くの課題をクリアせねばなりません。特に選手給与や遠征費を負担するリーグスポンサーの確保とメディア対策、安定した観客動員を獲得する経営戦略構築は、その中でも最も重要な課題と言えそうです。2008年頃には、当時の欧州野球連盟会長だったマルティン・ミュラー氏(ドイツ)が主導する形で、ELBと同様のリーグ戦構想が持ち上がったものの、既にこの時プロ化に向けて独自の動きを見せていたイタリア球界とバッティングすることなどがネックとなり、予定されていた2010年からの開幕が実現できなかったということも経験しています。この構想が発表されて以降、欧州球界の現場でもこのプランにはやはり賛否両論があるようですが、7年前の二の舞になることだけは関係者としては当然避けたいところです。

 そうした背景を踏まえ、NPO法人国際野球支援団体ベースボールブリッジでは去る16日に実施した定期MTGにて、このリーグに対する支援を実施する方針を満場一致で決議。本日バンデンハーク会長に対して、日本国内におけるリーグの広報活動やスポンサー探しといった分野で協力したい旨を直接申し入れました(なおバンデンハーク会長については、レギオネーレのイバン・ロドリゲス監督よりご紹介に預かり、既に一度やりとりを行っています)。

 支援の具体的な内容としては、日本語版のリーグ公式サイトの立ち上げと運用、大手広告代理店と協力してのスポンサー候補企業のリーグへの紹介、また日本球界経験者のエージェントとしての供給などを考えています。広告代理店との協働については、日欧野球の折にお世話になった社員の方にご相談させていただき、協力は可能との返答を頂戴しています(ただし、先方ではまだ正式な決裁は下りていません)。また、国内でのELB公式戦観戦への需要が高まってきた場合には、旅行代理店とタイアップしての観戦ツアーの実施といったアイデアもMTGの場では前向きに検討されました。

 こうした活動は、従来取り組んできたボランティア的な活動とは一線を画し、団体の運営方針を「ビジネスモード」に本格的に切り替えていくきっかけとなるものです。非営利団体として、「出身国・地域に関係なく、才能と努力次第で誰もがトップレベルで野球をプレーできる環境をつくる」というミッション達成のために動いていく方針に変わりはありませんが、一方で欧州球界のさらなる発展のためにはビジネス的な部分での強化が必要なことも事実です(この点に関しては現場でプレーしている選手たちとも意識を共有しています)。ELB側から色よい返事がまずは得られること、そして予定されている来年4月の開幕を実現するために、実りある活動ができることを心から願っています。今後とも、ベースボールブリッジに対する変わらぬご支援のほど、何卒よろしくお願いいたします。

NPO法人国際野球支援団体ベースボールブリッジ
代表 田中亮多

レーゲンスブルグ・レギオネーレ(ドイツ) イバン・ロドリゲス監督インタビュー

※今回の記事は、代表の田中が運営するブログ「欧州野球狂の詩」からの転載となります。

 昨シーズン、久々にドイツ・ブンデスリーガでのタイトルを逃すこととなってしまったレーゲンスブルグ・レギオネーレ。復活を期す名門が今年新たな指揮官として迎え入れたのが、オランダジュニア代表などでも指導にあたっていたベネズエラ出身のイバン・ロドリゲス監督でした。ロドリゲス氏については、以前もこのブログにてミスターベースボールが実施したインタビューの翻訳記事(http://ameblo.jp/systemr1851/entry-11936566349.html )を掲載していますが、今回は何とご本人からの依頼により独自の取材をさせてもらえることになりました。

 今回はそのロドリゲス監督への質問とその回答への数々を、ここでご紹介したいと思います。昨日の段階では「一週間くらい時間をくれ」と言っていたのが、自分からの質問に答えるのが楽しすぎて結局現地時間今朝の午前1時まで起きていたというロドリゲス氏。そんなおちゃめな(?)指揮官へのこのインタビューが、読者の皆さんに取って非常に意義あるものになってくれたら嬉しく思います。結構分量があるので、合計3つほどのセクションに分けてお届けするつもりです。それでは早速、レギオネーレにまつわる質問をぶつけた第1部をどうぞ。

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(イバン・ロドリゲス監督(右から2人目))

―:既にレーゲンスブルグ入りされているとお伺いしました。昨年にも、記者会見に出席するためにレーゲンスブルグには既に行かれていますが、その時と比べてご自身のメンタルやチームの状況に何か違いはありますか?
ロ:それほど大きな違いはないね。レーゲンスブルグには去年の11月14日に来て、それ以来週6日ブンデスリーガに参戦している一軍と、アカデミーの子供たちの両方を教えているんだ。私の指導の根幹にあるのはハードワークと規律だ。自分は本当に素晴らしいコーチングスタッフに恵まれているし、選手たちは今までにないくらい練習に励んでいるよ。その成果は徐々に見えてきているんだ。

―:ブログ読者の皆さんに、改めてクラブの紹介をお願いします。
ロ:レーゲンスブルグ・レギオネーレは、バイエルン州レーゲンスブルグに本拠を置く野球とソフトボールのクラブだ。ドイツのレンタカー会社で、現在の球団スポンサーでもあるブッシュビンダー・オートモービル社の名前を取って、ブッシュビンダー・レギオネーレ・レーゲンスブルグとも呼ばれているよ。1987年に創設され、現在我々の一軍はブンデスリーガ1部でプレーしている。

 レギオネーレの本拠地であるアーミンウルフ・ベースボールアリーナは、ヨーロッパでもベストかつ最も重要な施設と位置付けられているボールパークの1つだ。1996年にレーゲンスブルグに建てられたこのスタジアムは最大で1万人の収容能力を持ち、2009年のW杯と2013年のWBCヨーロッパ予選、そして昨年のヨーロッパ選手権のホストとなった。又、MLBが運営するアカデミーの大会もここで開かれている。現在球団では、オフィスと寄宿舎を建設する新たなプロジェクトを推し進めていて、これには事務やクラブハウス、第2球場も含まれている。これらは、ヨーロッパ球界における新たなスタンダードを手に入れるためのパズルの最後の1ピースであり、その入手によってさらに上のレベルに行けると確信しているよ。

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(写真上:本拠地のアーミンウルフ・ベースボールアリーナ。写真下:2010年にドイツ王者に輝いた時の写真)

―:レギオネーレはエバン・ルブランルドウィグ・グラサークリス・ハワードといったスラッガーを揃えた、重量打線が売りのチームだと自分は見ています。今年もこのチームカラーはほぼそのまま受け継ぐのでしょうか?それとも、何か新しい色をチームにつけようと考えていますか?
ロ:今年も彼らには自分たちの打撃をしてもらいたいと思っている。私はアグレッシブに、攻撃的にゲームを戦うのが好きなんだ。より積極的に走塁を仕掛けて走者を塁に置くこと、それによってしか得点を重ね勝つことはできないからね!!自分のチームのたった1人の活躍だけに依存して勝つのは好きではないんだ。もちろん、自分たちが何をできるかは見てみる必要はあるが、アグレッシブにプレーできる力があるなら私はそれを選ぶよ。

―:このオフシーズンは、ビッグネームがそれほどチームに加わらなかった印象があります。今オフの補強をどう評価していますか?
ロ:私のチームは、去年からさほど大きくは変わらないものになる予定だ。もちろん、何人かの選手は学校や仕事の関係で現役生活をストップしたけれど、彼らが抜けた分は新しい血を補うつもりでいる。しかし、こうした新しい選手たちもブンデスリーガで戦える事を証明し、ラインナップを自ら勝ち取らなきゃならない。チームには素晴らしいタレントを持った選手たちがたくさんいるから、そのチャンスが生まれた時に彼らにも出番が来るだろう。

―:ミスターベースボールによるインタビューでは、あなたは若い選手たちに対してハードワークを促すと仰っていましたね。それ以外に、彼らをスタメンとして登用するか否かを決める基準のようなものはありますか?
ロ:コミットメントとプライドだね!!ブンデスリーガのレベルは年々上がっているから、彼らはレーゲンスブルグ・レギオネーレの一員としてプレーできることを本当に誇りに思わなきゃいけない。一方で、自分たちがどういう立ち位置にいて、どんなことをこれから経験しようとしているのかについても学ばなきゃいけないんだ。

―:もしリーグタイトルを獲得するうえで、何人かキープレーヤーを挙げてほしいと言われたら、誰の名前を挙げますか?
ロ:個人の選手の名前を挙げることはしないよ。もちろん、我々のチームには根幹を支えるキープレーヤーが何人かいるし、MVP級の力を持っている者もいる。しかし、私は全ての試合においてスタメンの9人とベンチのメンバーが、一緒になってチャンピオンシップを目指さなきゃいけないと思っている。我々は常に一緒だし、知っての通り野球は個々の選手たちのハードワークによって成り立つ団体競技だからね。

―:レギオネーレはここ数年、ドイツ球界において王朝を築き上げ続けてきましたが、残念ながら昨シーズンは非常に難しいものとなってしまいました。また、同じ南地区のハイデンハイム・ハイデコッフェやシュツットガルト・レッズなどのライバルチーム、さらに北地区のクラブもかつてないほどレベルを上げています。一般論として、そしてチームの指揮官としてこういった状況をどのように見ていますか?
ロ:これこそが、球団が私を雇った理由の1つだろうね。我々はドイツで最もベストな野球チームの1つであり、それにふさわしいポジションに戻ることが何より大事だったんだ。もちろん、君が言うとおり他の球団も物凄く力を伸ばしているから、それを成し遂げるのは決して簡単なことではない。それでも我々はそれを成し遂げるつもりでいるし、最も重要なのはレギオネーレというクラブはプレーオフを勝ち抜くのに、他球団のように7人もの外国出身者をロースターに加える必要はないということさ。

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―:レギオネーレは今年、コーチングのスタイルを大きく変えましたね。見たところ、今年から導入された人員配置は日本球界で広く採用されているものと似ているように見受けられます。ひょっとして、この改革には日本野球からインスパイアされたものがあったのでは?
ロ:その通りだよ!!日本は国際球界を文字通りリードする存在だし、元々私はより良い結果をもたらすための新しい仕組みを作るのが好きなんだ。例えばガーナに行ったとしてもそこで何か自分たちにとって参考になるものを見つけられるだろうし、それを持ち帰ってうまく取り入れていくことはできる。野球はグローバルなスポーツであり、君たち日本人は本当によくやって結果だって出している。ならばそのやり方をヨーロッパで導入してみてもいいはずだろ?

※ヨーロッパでは従来、チームの首脳陣は監督、投手コーチ、打撃コーチ、そして2人のアシスタントコーチにより構成されるのが主流となってきましたが、今季のレギオネーレではロドリゲス監督が内野守備コーチ、クリス・ハワード捕手が捕手コーチ、そしてステファン・ミュラー・ストレングスコーチが外野守備コーチをそれぞれ兼任することになり、NPB球団と近い指導方式がとられることとなりました。

―:地元レーゲンスブルグの観客についてどう思われますか?彼らはこの2015年シーズンを勝ち抜くための力となってくれるでしょうか?彼らに対するメッセージを是非。
ロ:我々のファンはとても大切な存在だよ。彼らは本当にチームを支えてくれている。そのことに誇りを持っているし、何より野球というゲームをよく知っているんだ。まさに10人目の選手と呼ぶにふさわしい存在だよ。私はテレビで、W杯やWBC予選やヨーロッパ選手権での彼らの姿を見てきたけれど、彼らはまさにスタジアムにおいて自分たちが必要とする存在なんだ。彼らはまさにダイハードなファンなんだよ、イタリアにもいるみたいなね!!オランダにさえ彼らのようなファンはいないだろう。オランダでも、スタジアムが満員になるのはファイナルであるオランダシリーズの時くらいさ。私はこの街の人々は、他のどのヨーロッパの国々よりも優れたスポーツマインドを持っていると信じているよ。

(外国人として見たヨーロッパとそこで展開されている野球について)
―:あなたはご自身の母国であるベネズエラで仕事をした後、ヨーロッパに渡ってらっしゃいますね。欧州とベネズエラの野球の、最も大きな違いとはどんなことでしょう?
ロ:ヨーロッパの野球は、あまりにもアメリカ寄りになりすぎているよ!!攻撃的な走塁やスモールボール的なアプローチは、私はヨーロッパでは見たことがない。もちろん、ヨーロッパにおいても非常に素晴らしい打線を持つチームは存在するが、それらは優秀な選手を手に入れてパワフルな打線を構成できるだけの、優秀な財力を持つ限られた3つか4つのチームに限られる。もちろん、破壊力満点の打線を君が構成できる力があるならそれで全く問題はない。しかし、こうしたモンスター級のチームと対峙することになれば何か他に工夫をしなければいけないはずだが、そうしたものを私はあまり見たことがないんだ。

 ヨーロッパのチームの練習は、さながらアメリカで行われているものを見ているかのようだ。球場に来てから何球かのキャッチボールをして、打撃練習で20球打って家に帰っていくだけというルーティンには、本当に(悪い意味で)驚かされた。もちろん、幸いにもそれはここ数年変わりつつあるけれどね。私はオランダで、オランダジュニア代表の指導という仕事をすることができた。今まで自分が見ていたのとは違う練習スタイルが根付き始めていたのを見られたのは嬉しかったよ。

 それと、我々ベネズエラ人にとっては文字通り野球は全てなんだ。我々は本当に野球というスポーツに対してハングリーだし、MLB球団との契約を勝ち取るためにあらゆる手を尽くそうとする。残念ながら、ベネズエラは決して裕福な国ではないからね。ベネズエラという国において、プロ野球選手という肩書は物凄いステータスなんだよ。医者や教師、ビジネスマンであること以上にね。ここヨーロッパではしかしそうではないんだ。まず自分のキャリアを他に確保しておいて、もし選手として契約してもらえたらそっちに専念するというのが一般的な流れになっている。このスポーツをプレーしている選手の多くにとって、まだ野球はあくまでも趣味の延長線上にあるものであって、完全に仕事としては根付いていないということなのかもしれない。

―:そもそもベネズエラからオランダに渡られた理由とはなんだったのでしょうか?
ロ:主な理由は、より良い仕事の機会を探すことだった。ベネズエラは10年以上にもわたって危機的な状況にあり、そこで多くの機会がありフレンドリーな国としてオランダに照準を定めたんだ。自分にとってはとても素晴らしいキャリアを捨てて、成功するかもわからない冒険に出たようなものだったよ。幸運にも私は結婚して、今はL&Dアムステルダム・パイレーツでプレーしている息子も手に入れることができた。この国の野球はとても速いスピードで進歩を続けていて、自分も何かしらその助けになれると信じている。オランダ王立野球・ソフトボール協会のタレント発掘コーチである、マルティン・ネイホフと仕事ができているのは物凄くラッキーだよ。

―:一般的に言って、南米と欧州では生活習慣が全く異なりますよね。適応するのに難しさを感じたことはありますか?もしそうであればそれはどんな点で、どうやってそれらを克服してきたのでしょうか?
ロ:私は色々な国で生活してきたから、正直それほど難しいことではなかったよ。もちろん、言葉と食べ物には適応しなければならなかったけどね。ただ、私の妻が非常に多くのサポートをしてくれたし言葉も教えてくれた。今でもそうだよ!!フラストレーションがたまったことと言えば、例えば買い物に行って人々にオランダ語で話しかけた時、彼らが私を気遣って英語で返してくる、なんてことかな。もちろん、彼らが私を助けようとしてくれていること、そしてオランダ人が本当に英語に堪能であることはよく知っているけれど、自分にとっては決してそれがいいことというわけでもなかったんだよ。まぁ、オランダではどこに行ってもそんな感じだったけどね。

 それと面白かったのは、オランダ人たちの会話の輪に私が参加しているとき、彼らが自分たちが何をしゃべっているのか私にも理解できるように、オランダ人同士でも英語でずっと会話していた時だね!!ドイツではあまりそういうことはないんだ。ドイツ人は逆に、私が同じテーブルについていてもドイツ語で話し始めるから、そういう時はちょっと部外者みたいに感じたりすることはある。ただ、ドイツ語を学ぶ上では結果的にその方がいいのかもしれないね。今はドイツ語の勉強もはじめているんだけど、オランダ語の単語と似ている部分も結構あるんだ。ただ、チームでは基本的に英語で話しているし、オランダ人エースであるマイク・ボルセンブロークとは今でもオランダ語を練習しているよ。

―:欧州野球とかかわりを持ててよかったこととはどんな点でしょう?
ロ:「カリブ流」の指導スタイルで野球を教える機会を得られること、そしてそこに私の経験とこのゲームへの愛情を持ち込むことができることだね。

―:海外に渡航し、そこで生活を始めようと考えている読者に対して、何かアドバイスはありますか?
ロ:なるべく早い段階でヨーロッパの生活に適応すること、自分にとって居心地がいいと感じる、自分自身の母国出身者が集まるコミュニティという狭い枠の中に自分を閉じ込めないことだ。もちろん、海外にいると自分の母国から来た人々と話すのは楽しく感じられる。しかし、自分自身をその国に適応させることができれば、よりその国に対する優れた知識を手に入れることができるんだ。

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(レギオネーレのスポンサーであるブッシュビンダー・オートモービル社のロゴ)

(日欧野球について)
―:この3月、侍ジャパンが欧州選抜とフレンドリーマッチを計画していますよね。これについては率直にどう思われますか?
ロ:野球というスポーツ自体にとって素晴らしい機会だ。今、野球界がグローバリゼーションの時代を迎えているということを思い出してほしい。こうしたイベントは、我々のスポーツにとって物凄く大きなものを与えてくれるだろう。今や、野球をプレーしているのはアメリカとアジアと中南米だけじゃないんだ。ヨーロッパも、オーストラリアも、アフリカも、皆この世界でベストなスポーツをプレーしているんだよ!!

―:このニュースは既に現地ではオンエアされているのですか?球界での反応はどのようなもので、この試合はどういった扱いを受けているのでしょうか?
ロ:今、それに向けて色々と動いているところだよ。既にニュース自体はコミュニティの中に広まっている。ただ、我々は現段階では連盟がオフィシャルな声明を出すのを待っているところなんだ。そうすればもっと色々と話すこともできるが、残念ながらまだその段階ではないね。

―:このイベントはヨーロッパ球界にとってどんな意味があるでしょうか?例えば、より多くのヨーロッパ人選手が日本球界でプレーできるようになるきっかけになると思いますか?
ロ:間違いなくそうなるだろう。今後はより多くのヨーロッパ人選手がアジア球界でプレーすることになるはずだ。ヨーロッパ人選手がこれまでにはなかったようなクラブからも注目してもらえるよう、いいプレーをしてくれることを祈っているよ。

―:ある日本のメディアは、「欧州選抜はレベルが低く、日本代表の選手にとっては故障のリスクがあるのでこの試合には反対だ」という立場を表明しています。あなたのオランダとドイツでの経験をもとに、是非これに対する反論を頂けますか。
ロ:メディアの連中ってのはいつもこうなんだよ!!初めてWBCが導入された時も、同じようなコメントがオンエアされて世界中を飛び回ったものさ。全てのMLB球団は大会に選手を派遣したがらない、何故なら時期が早すぎて故障のリスクがあるからだ、とね。もし選手たちに声を書けたなら、彼らは出場したいかという問いに対して間違いなくイエスと答えるよ。なぜなら、自分の国のためにプレーするのは怪我への恐怖より、はるかに大きな意味を持つことなんだからね!!

 ヨーロッパでも、実を言えば早い時期にプレーを始めるのはそう簡単なことではないんだよ。なぜならこっちにはドーム球場がないから、私たちはバスケットボールコートでインドアトレーニングをこなさなければいけないんだ。でも、我々は全てのトーナメントに参加したいと思っているし、そこで最高のプレーをするために最善を尽くしたいといつでも思っているよ。

―:今回は2試合若しくは3試合が行われると聞いています。今回のシリーズではズバリ、どんな結果を期待しますか?
ロ:率直に言って、今回は君たちの代表チームの方が実力的に遥かに格上だ。スプリングトレーニングの関係で、アメリカでプレーしている面々も参加できないだろうしね。ただ、具体的にどっちが何勝するか、結果がどうなるかという予想は立てたくないな。なぜなら、どんなことだって起こり得るんだからね。1つだけはっきり言っておくのは、我々のチームは自分たちのベストをこのシリーズで尽くして、君たち日本人が思っている以上にずっと難しい試合にするつもりだということだよ!!

―:今回は欧州側はオールスターという編成ですが、ゆくゆくは欧州の代表チームが単独で日本代表と対戦できる機会も来ると思いますか?
ロ:そういう機会をぜひ見てみたいね。ヨーロッパの代表チームが、W杯のようなイベントとは違う形式で日本代表と今後戦う機会がどんどん増えてほしい。これは我々のレベルを新たな次元に引き上げるための素晴らしい機会となるだろう。とはいえ、全ての連盟がこれを実現できるための財力を持ってるわけでもない。もし野球とソフトボールがオリンピックに戻ることができれば、欧州各国の連盟はこうしたイベントにより頻繁に参加できるだけの財力を手に入れられるだろう。そこに関しては全く疑っていないよ。

(野球界の未来について)
―:ヨーロッパ野球はここ最近物凄いスピードで成長を続けていますが、依然として小さなスポーツであることに代わりはなく、まだまだクリアしなければならないことがたくさんあるように思います。ブレークスルーを果たすためにはどんなことが必要でしょうか?
ロ:世界に、スポンサーに、そして企業に対して野球がグローバルなスポーツであると示すことだ。サッカーの3部や4部のチームにさえ多額の金が投資され、それに対して野球のトップリーグがその1%程度しか資金を得られないなんて馬鹿げてるよ。仮に、ヨーロッパ野球が今サッカー界が手にしている財力の半分でも手に入れられたなら、状況は劇的に変わるはずだ。

 オランダは世界的には小さな国であり、我々はサッカーよりもいい結果を過去にも現在にも残し続けてきたにもかかわらず、その事実を知る人はまだ少ない。オランダは昨年のヨーロッパ選手権で優勝を果たしたが、その結果を報じた新聞を読んだときは悲しかった。野球オランダ代表が優勝した時、そのニュースはオランダ国内の大手の新聞に1面で取り上げられたけど、その記事は100の単語にも満たないくらいの小さなもので写真も貼ってなかった。それに対して、より多くのスペースを割いて大きな写真も掲載されたのは、(具体的にどのクラブかは忘れたけど)オランダを代表するサッカークラブがリーグ戦で負けた、という物だったんだ!!私は、オランダ野球がメディアで取り上げられる機会はどんどん増えているけれど、まだ十分ではないと思う。我々が欧州諸国でやっていることに対して、もっとリスペクトとサポートが欲しいんだよ。

―:もし、ヨーロッパに年間100試合超の試合をこなすリーグを立ち上げるとしたら、そのためにどんなものが求められるでしょうか?
ロ:ドーム球場だね。そうすればもっと長く、冬にだってプレーすることができるようになるだろう。そうでなければ実現するのは不可能だと思う。残念ながらまだこの大陸での野球はプロフェッショナルではなく、選手たちは職場や学校に通いながら週末に試合をしているんだ。選手全員が週に4試合も5試合もプレーできるような状況にはない。彼らは仕事に行ったり、また将来的に社会人としての生活を送るための準備として学校に行かなきゃならない。残念なことに、それが今の唯一のオプションなんだ。

 あるいは、各クラブがもっと大規模な財政的サポートを受けて、選手たちをプロとして雇えるようになることだね。それがプロフェッショナルたるために必要なことだ。おそらく、野球だけで生計をたてられているという選手は全体の10%にも満たないんじゃないかな?

―:ヨーロッパ中のトップクラブを集め、年間100試合以上をこなす「ユーロピアン・ユナイテッド・ベースボールリーグ(EUBL)」のようなアイデアが実現する日が、いつか来ると思いますか?
ロ:非常に素晴らしいアイデアだと思うが、その実現には多額の資金が必要だし今はそういう時期ではない。残念なことに、スポンサーが撤退して財政的に厳しい状況を向かているクラブは少なくないんだ。もちろん非常に夢のある話ではあるけれど、やはりスタジアムと資金の問題をまず解決しないといけないね。

―:現在、我々ベースボールブリッジはヨーロッパのトップ選手に対する日本球界の移籍支援事業に着手しています。これはヨーロッパ球界に対してどんな影響をもたらすと思われますか?
ロ:暗いトンネルの中にいる選手たちに対して、光をもたらしてくれることだと思う。競技人口が年々増えていることもあって、MLBでプレーするのはここ最近難しくなっているんだ。ヨーロッパ人の選手たちが夢を見る、その夢を実現するための機会を与えてくれる、とても重要な活動だと思うよ。

―:もし我々日本人がヨーロッパに飛んで、既にヨーロッパ球界で働いている人々とともにその発展のためのお手伝いをできるとしたら、どんな形での協力が考えられるでしょうか?
ロ:既に日本において野球界をサポートしている企業に、そのネットワークを生かして欧州球界に対しても投資するよう促すことだね。それと、日欧両球界を選手たちが行き来できる仕組みを作ること。これは非常に大きなステップとなるだろう。しかし、選手たちだけではなく指導者の養成も大切なんだ。もし日本人指導者をヨーロッパに招くことができれば、そこで得られた情報を選手たちに還元できるから非常に意義があることだ。同様に、ヨーロッパ人の指導者が日本に研修に行くこともとても大切なことだと思う。

―:西暦2045年におけるヨーロッパ球界をイメージしてみてください。どんな世界が見えますか?
ロ:その世界を実際に見るために、自分が地球上にまだ生きながらえていることをまず祈りたいね(笑) その時、きっと野球界は完全に国際化を成し遂げているだろう。一年中世界的な規模でリーグ戦が展開され、毎週末に世界のどこかで代表戦が繰り広げられている。W杯みたいなものだけど、それが1年間という長いスパンで行われているんだ。もちろんその頃には私は引退して、自分の息子が現役の最晩年を迎えているか、もしくは既に指導者に転身しているところを見ているだろうね。

 どちらにせよ、ファンタスティックな世界だと思うよ。小国が大国を倒すのが当たり前になっているような世界を是非見たいものだね。現在の世界ではまだ野球というスポーツをプレーしていなかったり、どんな競技か知らないような国々が、当たり前のようにW杯のような国際大会に出場して戦っているのさ!!

―:どうもありがとうございました。今シーズンの躍進をお祈りしています。

 第1部にも書きましたが、今回のインタビューはロドリゲス氏自身がわざわざ先方から要請して時間を割いてくれたものでした。そもそも、ヨーロッパの現場にいる人々にインタビューできること自体が物凄く貴重な機会なんですが、昨年こそ不調だったものの過去10シーズンで7回タイトルを獲得しているドイツの超名門チームの指揮官に、それも本人からのリクエストで取材ができたというのはなんだかもう、色々と超越しすぎてます。世間的にはなんてことない3本のブログ記事かもわかりませんが、俺個人としては本当にとてつもないことです。まずこういう機会をもらえたことに、本当に心から感謝したいと思います。Gracias, Ivan!!

 そして、1つ1つの質問に対しても非常に真摯に答えていただきました。自分としても聞きたいことが多すぎて、合計26問というかなりの質問数になってしまいましたが、返ってきたのはとても貴重な意見ばかり。1人の欧州野球ファンとして、野球の国際的発展の為に活動するNPOの代表として、学びがとても多かったと思います。これまで取り上げてきた「指揮官は語る」シリーズの中でも、今回の取材は特にやれてよかったと思える企画になりました。読者の皆さんにとっても、この3本の記事が何かしらを残してくれるものになってくれたら、心から嬉しく思います。

現役ブンデスリーガーが語るドイツ野球

※この記事は、ベースボールブリッジ代表の個人ブログ「欧州野球狂の詩」からの転載です。Twitterを通じて知り合った、ドイツ・ブンデスリーガでプレーする現役のドイツ人選手に対して、メールにてインタビューを行いました。

 今回インタビューしたのは、ブンデスリーガ北地区のケルン・カージナルスに所属する、メルリン・メンデル外野手(31)。カージナルスは今オフ、日本人の広高竜世投手(18、沖学園高)が加入し、日本の野球ファンからしても要注目と言えるクラブです。果たして、ドイツ野球の現場でプレーする選手たちは一体何を思い、何をめざしながらプレーを続けているのか?現役アスリートの生の声をどうぞ。

メルリン・メンデル選手プロフィール(ケルン・カージナルス公式サイト)

Q.まずは簡単に自己紹介をお願いします。
A.メルリン・メンデル、1982年12月24日生まれの31歳です。カージナルスでは主にセンターとしてプレーしています。背番号31、右投げ右打ちです。どうぞよろしく。

Q.野球を始めたのはいつ、どんなことがきっかけですか?
A.僕が野球を始めた時は、ドイツでは野球は全然知られていなかったんだ。だから、野球と出会うのは17歳とかなり遅くなってしまった。たまたま友達が誘ってくれたんだけど、出会って一目で虜になったよ!!それから、僕の人生の中で野球が最もフォーカスすべき存在になった。プレーヤーとして自分がなりうる最も素晴らしい存在になるために、必死でプレーしてきたよ。

Q.野球の他にスポーツは何かプレーしていましたか?
A.もちろん。ドイツのあらゆる子供たちと同じように、様々なスポーツをプレーしてきたよ。一番最初はストリートバスケから始まって、地元のクラブではバドミントンやキックボクシングもやっていた。去年は野球と並行して、地元のアメフトチームでワイドレシーバーとしてもプレーしたんだ。

Q.外野手として、あなたは自分自身のプレースタイルをどのようにカテゴライズしますか?
A.僕は野球のキャリアを始めるのが遅かったので、打撃の強化にあまり多くの時間を割くことができなかった。だから、まずは守備力を徹底的に鍛えたんだ。僕の一番の持ち味は機動力だよ。そのおかげで、打撃を鍛えるのに十分な打席数を稼ぐことができた。今はチームの切り込み隊長を務めている。打席での経験を積んだおかげで長打力も向上しているけど、自分が一番狙っているのは出塁することだね。

Q.ドイツ全体の野球環境、例えばインフラや選手のレベル、給与などについてどう思いますか?
A.この質問に対する答えだけで一冊本が書けるね(笑) 自分の大まかな考えを言わせてもらうと、ここドイツでは物凄く格差が大きいんだ。例えば、レーゲンスブルグのアーミンウルフベースボールアリーナは、マイナーリーグのゲームだってホストできるような立派なボールパークだけど、他の試合会場はそれが野球場だと認識することすらできないかもしれない。どんな場所でプレーできるかは、どのリーグでプレーしているかに大きく左右されるんだ。

 プレーのレベルについても全く同じことが言えるね。ブンデスリーガ1部の野球は本当にレベルが高いよ!!ここでプレーしているドイツ人の選手たちの中には、アメリカでもプレーできるだけの実力を持った人間がたくさんいるんだ。そのスタンダードは、下はNCAA1部から上は元マイナーリーガーまでの、非常にハイレベルなキャリアを持ったインポートの選手たちがもたらしたものだ。

 ただ、残念ながらドイツではあまり野球でサラリーを稼ぐことは期待できない。これもまた球団によって大きな差があるんだ。レーゲンスブルグ・レギオネーレのマルティン・ヘルミグ監督は、たった1人で僕らカージナルスの人件費より多い金額を得られるんだ。これについて語るという目的だけでも、インタビューを丸々一本セッティングできるはずだよ。

Q.あなたはオーストラリアでもプレーした経験があると伺いましたが、オーストラリア野球と比べてドイツ野球が優れていると思われる点はありますか?
A.ABLでの野球は、間違いなくドイツの野球よりも優れているよ。MLBがスポンサリングしているし、マイナーリーグのタレントがたくさんいるからね。ただ、各クラブが展開している野球のスタイルという面で言えば、僕はドイツの方が優れていると思うけど。もちろん、個々の実力で言えばオーストラリアの方が上だろう。でも、ゲームに対するアプローチの違いのおかげで、ドイツのチームの方がより勝利を得られていると思う。

 オーストラリアにいた時は、正直僕はチームのプレースタイルがあまり好きじゃなかったんだ。チームの誰もが、どんな時もできるだけ強くボールを叩いて、より遠くに飛ばすことにばかり主眼を置いていたからね。もちろん、それは非常に興奮を掻き立てられるものではあるだろうけど、そういうフリースインガー的なプレーでどれだけ得点を無駄にしたことか!!打席に立つ奴が皆強振することしか頭にないから、無死三塁のチャンスをふいにしたことなんか山ほどあるよ。ドイツではよりチームの勝利の為にプレーするという意識が強いし、そのために自分が何ができるかを皆考えながらやっているんだ。

Q.もしオーストラリア野球がヨーロッパ野球のロールモデルであるとしたら、ドイツ野球は近い将来その水準にたどり着けると思いますか?
A.ドイツ球界の一番の問題は、テレビ中継が一切ないことだね。だから、僕たちは巨額の支援をしてくれる大手のスポンサーを見つけられずにいるんだ。お金がなければインフラも整わないし、競技人口も増えては来ない。そして、これが選手のレベルを決定する要因にもなってしまっている。ここドイツでは皆、仕事をしながら野球をやっているんだ。毎週末に各地を遠征して試合をし、翌朝にはオフィスにいなきゃいけないとなると、ろくに休む時間もトレーニングに費やす時間も得られない。お金がなければ、その水準に到達するまでには長い時間を要するだろうね。

Q.あなたがゲームの中で最も素晴らしいと思う、現役のドイツ人プレーヤーを投手と野手で2人ずつ挙げてください。
A.多分この質問で意図されているのは、まだアメリカに行かずにブンデスリーガでプレーしている選手たちだろう。これから紹介させてもらうのは、ドイツ国内を代表する最高のドイツ人プレーヤーたちだよ。ただ、紹介するのは(自分がプレーする)北地区の選手たちに限定させてほしい。南地区のチームとはあまり試合をしないし、複数回プレーぶりを見ている選手の方がより評価しやすいからね。野球の成績ってのは、言うなればビキニを着た女の子みたいなものさ。非常に多くの物を見せてくれるけど、残念ながら全ては見せてくれない(笑)

 まず野手で挙げたいのは、ジェンドリック・スピアー(パダーボーン・アンタッチャブルズ)だね。素晴らしい守備の技術の持ち主であり、とてもスマートな選手だ。彼は難しいプレーを簡単に見せてしまう、数少ない選手の一人だと思う。それをやってのけるのはスペシャルだよ。もう1人は、彼のチームメイトであるビョーン・ショーンローだね。彼は物凄いパワーの持ち主で、うちの投手たちは昨シーズンことごとく彼の餌食にさせられてしまった。

 投手で挙げたいのはアンドレ・ヒューズ(ゾーリンゲン・アリゲーターズ)。素晴らしい制球力の持ち主で、簡単に相手をゴロに打ち取ってしまう。彼はどんな打者であろうと、ファウルで粘ることを決して許さないんだ。もう1人は、スピアーやショーンローのチームメイトであるダニエル・ハインツ。彼の速球の質は卓越しているよ。去年はマウンドではもちろん打者としても素晴らしい成績を残して、北地区のMVPにも選ばれたんだ。

Q.あなたは野球と並行してどんな仕事をしていますか?セミプロとしてプレーするのは大変?
A.もちろん大変さ!!僕は本当に野球を愛しているし、できることならもっと時間を割きたいよ。普段はビジネスコンサルタントの仕事をしているんだ。野球に費やすべきエネルギーや時間の多くが持っていかれる職種だね。

Q.カージナルスのウェブサイトであなたが31歳だと知りましたが、ドイツではドミニク・ウルフ(元アリゲーターズ)やクラウス・ホプフェンスペルガー(元レギオネーレ)のように、30歳前後で現役を引退してしまう選手が多いですよね。このテーマについてはどう考えていますか?
A.これは、選手誰もが下さなければならない決断だと思う。それぞれ状況が異なるから軽々しくは発言できないね。僕自身のことについて言えば、チームのために働ける限りは現役を続けるつもりだよ。まだまだ僕にはやるべきことがたくさんあるし、プレーし始めるのが遅かったから今でも成長し続けているんだ。もちろん、年を取るたびに練習に工夫や規律が必要なのは言うまでもないね。ワークアウトに対してはより積極的でなければならないんだ。

Q.ブンデスリーガでの「アメリカ旋風」についてはどう見ていますか?例えば、オールスターゲームに出てくるのはドイツ人よりもアメリカ人の方が多い印象を受けますが…。
A.各球団は彼らに給料を払っているからね。もし彼らがオールスターに出られなければ、その投資は失敗だったということになってしまう。実際には、文字通り圧倒的な数字を残せる助っ人は少数派になっていると思うよ。過去にプレーした選手が、リーグ全体のレベルを引き上げてくれたからね。より優れた選手になるためには、より強い相手と対戦するのが唯一の道なんだ。

Q.既にアメリカのマイナー、あるいはメジャーでも何人かのドイツ人選手がプレーしていますが、日本球界でのプレーを望んでいるドイツの選手はいると思いますか?
A.もし僕と契約してくれたら、翌週にはそっちにすっ飛んで行くよ!!日本球界でプレーしたいと願っているドイツ人は、間違いなくそれこそ数えきれないほどいると僕は思う。国そのものも刺激的で素晴らしいし、野球のレベルも本当に高くスマートだ。もし君の国でプレーできるチャンスを掴めたなら、きっとほとんどの選手が誇りに感じるだろうね。

Q.もし近い将来、NPB経験者がブンデスリーガの球団に入るなんてことがあったら、どんなことが起こると思いますか?
A.そういう選手たちが自分の国の、あるいは自分の国の野球の代表として僕たちのリーグに来てくれたら、それは素晴らしいことだと思うよ。お互いの野球の経験をぜひシェアしたいね。彼らからは、きっと学べることがたくさんあるはずだ。

Q.ヨーロッパの国々、例えばオランダ・イタリア・ドイツ・スペイン・チェコ・スウェーデン・イギリス・フランスのクラブを集めて、全ヨーロッパ規模のプロ野球リーグを作るというアイデアについてはどう思いますか?将来的に実現の余地はあるでしょうか?
A.うーん、少なくとも近い将来に実現することはないだろうね。もちろん、実現できたならそれは野球というスポーツにとって物凄いインパクトを生むだろう。ただ、残念ながら各球団の財務状況が、それを具現化できるだけの状況にはないのもまた事実だと思う。

Q.2009年のW杯、あるいは2012年のWBC予選で1万人もの観客を集められたのは、何が要因だったのでしょう?ヨーロッパの人々を、野球に惹きつけるために最も必要なのはなんだと思いますか?
A.人々がもっとこの競技に触れる機会を増やすべきだし、実際に触れた時にこの競技が魅力的な存在だと思われなければいけない。繰り返しになるけど、メディアが注目してくれることが一番のカギなんだ。そうすればもっと多くの人々が目を向けてくれる。より高い注目を集めることは、より多くのスポンサーを生むことにもつながるんだ。過去の質問でも答えたように、この状況を打破するのはやはりお金だろうね。

Q.今、僕は国際野球支援団体ベースボールブリッジの代表として、いわゆる野球マイナー諸国における野球の発展を支援する活動に取り組んでいます。もし、自分たちのような日本の野球ファンがドイツ野球に何かできることがあるとしたら、それは一体どんなことでしょうか?
A.難しい質問だね。とにかく、マイナーな国の野球をより多くの人々に知ってもらうことが必要だと思う。多くの人々にこれらの国々における野球の現状を伝えてほしい。もし海外で事業展開している日本企業があったら、彼らにスポンサーになるよう働きかけてほしい。そして、ドイツのプロ野球球団のサイトや、選手のツイッターアカウントのフォロワーを増やしてもらいたいかな。

Q.最後に、もし野球をやっていなかったとしたら、あなたはどんな人生を送っていたと思いますか?
A.正直に言おう。そんなこと想像したくもないね!!(笑) どうして、自分の人生に野球をプレーすることを選べないっていうんだい?

 今回インタビューに応じてくれたメンデル選手は、たまたま俺のTwitterでのフォロワー同士だったことがきっかけで関係がスタートした間柄。本人は、日本にもドイツの野球を気にかけてくれる人物がいるということを、非常に心嬉しく思ってくれているようで、近況報告でも触れたとおり「絶対にドイツに来い!!」と熱心に誘ってくれました。こちらとしても、こんな見ず知らずの日本人にここまで真摯に向き合ってもらえてありがたい限りです。本当に彼には感謝してます。いつかは実際に彼に会いに行きたいな。

 メンデル選手自身は、俺の知る限りまだドイツ代表でのプレー歴はありません。ただ、だからこそ世界の華々しい舞台で戦うトップ選手とはまた違う、独自の視点を自分たちに提供してくれたと思っています。こういう選手たちの生の声を聞けるのは、めったにない貴重な機会。読者の皆さんにも、彼の言葉から何かを感じ取ってもらえたら非常に嬉しいです。

 そのついでと言ってはなんですが、彼は今Twitterでキャンペーンを実施中で、フォロワーが1000人に到達した暁にはその中の1名に、試合で使ったカージナルスのサイン入りジャージをプレゼントするそうです。彼自身は今回の俺との接触をきっかけに、日本人のフォロワー数増加も心待ちにしている様子。日本人が当選すればもちろんケルンから日本に届けるうえ、サイン入りジャージの他に特別にサインボールもつけるとのことです。Twitterアカウントをお持ちの方、損はしないので是非彼のアカウント(@merlin_mendel)をフォローしてみては?本人は生粋のドイツ人ですがツイートは全て英語なので、ドイツ語ができなくても安心ですよ(もちろん冷やかしは厳禁で!!)。

 最後になりますが、改めてメルリン・メンデル選手のご厚意と協力に心から感謝します。メンデル選手、並びにケルン・カージナルスの2014年シーズンにおける健闘を祈ります。Vielen dank, Mr. Mendel!!(メンデル選手、本当にありがとう!!)

テーマ : 野球全般
ジャンル : スポーツ

欧州野球ツアーズ~チェコ編~

 僕のブログである欧州野球狂の詩ではよく、オランダ・イタリア・スペイン・ドイツの4か国をまとめて「欧州球界の四天王」と紹介していますが、ではそれに次ぐ5番手はいったいどこなのかは、非常に疑問に思われる部分かもしれません。上記4か国に次ぐ勢力としては、チェコ・スウェーデン・イギリス・フランスなどが該当するのですが、中でも成長著しい国と言えるのはチェコではないでしょうか。

 2013年度のWBSC(世界野球・ソフトボール連盟)ランキングで27位にランクインしたチェコは、2012年9月にオランダで開催されたヨーロッパ選手権で、4強に次ぐ総合5位に。その直後にドイツ・レーゲンスブルグで行われたWBC予選ドイツラウンドにも、オランダとイタリア以外の欧州勢として初出場(他にスペイン・ドイツ・イギリス・フランス・イスラエルが出場)を果たしました。同大会ではドイツとイギリス相手に大敗し白星はなりませんでしたが、スラブ諸国初のWBC出場国として大会に新たな歴史を刻んでいます。

 チェコ代表の売りはその打線。元シアトル・マリナーズ傘下のマイナーリーガー、パベル・ブドスキー(前AVGドラッシ・ブルノ、現役引退済)から主砲の座を受け継いだヤコブ・マリク(オストラヴァ・アローズ)、彼の同僚で若き正捕手のペトル・チェフ(奇しくもチェルシー所属の世界的GKと同姓同名)など、ラインナップには好打者がずらりと並びます。投手陣はボリス・ボカーイ(前レーゲンスブルグ・レギオネーレ/ドイツ)とヤン・レハーチェク(前ヴァッセン・パイオニアーズ/オランダ)の左右のエースを中心に、右の下手投げや変則左腕、さらには捕手との二刀流など個性派揃い。相手打者に的を絞らせない多彩な継投は、初見で相手投手を攻略せねばならない国際大会では脅威と言えます。

 チェコの国内リーグであるエキストラリーガには8球団が在籍。各チームが5試合総当たり、計35試合のレギュラーシーズンを戦い、上位6球団がプレーオフに進出します。ここ最近リーグの覇権を握っているのは、ブドスキーが在籍していたドラッシ。英語風に言うなら「ブルノ・ドラゴンズ」、漆黒の戦闘服が特徴的なこのチームは、1995年から2010年までV9巨人も真っ青のリーグ16連覇を達成した、国内では圧倒的とも言える戦力を誇ります。欧州各国のトップクラブが出場するクラブ選手権「ヨーロッパカップ」でも常連であり、今や欧州を代表する野球チームと言っても過言ではないでしょう。

 国全体の人口や有力な北米への移民が多いわけでも、MLB傘下のトッププロスペクトがいるわけでもないなか、地道に強化を続け今日の地位を獲得するまでに至ったチェコ球界の努力には、本当に頭が下がります。文字通り0の状態から積み重ねてきたハードワークが、いつの日かさらに大きな花を咲かせることを祈るばかりです。

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野球があまり盛んではない国々(野球マイナー諸国)への野球用具の送付や啓発イベントの開催、その他様々なプロジェクトの実施を通じて野球競技の国際的普及とメジャースポーツ化を目指すNPO法人です。現在新メンバーを鋭意募集中です。参加希望の方はrecruit@baseball-bridge.orgまで!!

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