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現役ブンデスリーガーが語るドイツ野球

※この記事は、ベースボールブリッジ代表の個人ブログ「欧州野球狂の詩」からの転載です。Twitterを通じて知り合った、ドイツ・ブンデスリーガでプレーする現役のドイツ人選手に対して、メールにてインタビューを行いました。

 今回インタビューしたのは、ブンデスリーガ北地区のケルン・カージナルスに所属する、メルリン・メンデル外野手(31)。カージナルスは今オフ、日本人の広高竜世投手(18、沖学園高)が加入し、日本の野球ファンからしても要注目と言えるクラブです。果たして、ドイツ野球の現場でプレーする選手たちは一体何を思い、何をめざしながらプレーを続けているのか?現役アスリートの生の声をどうぞ。

メルリン・メンデル選手プロフィール(ケルン・カージナルス公式サイト)

Q.まずは簡単に自己紹介をお願いします。
A.メルリン・メンデル、1982年12月24日生まれの31歳です。カージナルスでは主にセンターとしてプレーしています。背番号31、右投げ右打ちです。どうぞよろしく。

Q.野球を始めたのはいつ、どんなことがきっかけですか?
A.僕が野球を始めた時は、ドイツでは野球は全然知られていなかったんだ。だから、野球と出会うのは17歳とかなり遅くなってしまった。たまたま友達が誘ってくれたんだけど、出会って一目で虜になったよ!!それから、僕の人生の中で野球が最もフォーカスすべき存在になった。プレーヤーとして自分がなりうる最も素晴らしい存在になるために、必死でプレーしてきたよ。

Q.野球の他にスポーツは何かプレーしていましたか?
A.もちろん。ドイツのあらゆる子供たちと同じように、様々なスポーツをプレーしてきたよ。一番最初はストリートバスケから始まって、地元のクラブではバドミントンやキックボクシングもやっていた。去年は野球と並行して、地元のアメフトチームでワイドレシーバーとしてもプレーしたんだ。

Q.外野手として、あなたは自分自身のプレースタイルをどのようにカテゴライズしますか?
A.僕は野球のキャリアを始めるのが遅かったので、打撃の強化にあまり多くの時間を割くことができなかった。だから、まずは守備力を徹底的に鍛えたんだ。僕の一番の持ち味は機動力だよ。そのおかげで、打撃を鍛えるのに十分な打席数を稼ぐことができた。今はチームの切り込み隊長を務めている。打席での経験を積んだおかげで長打力も向上しているけど、自分が一番狙っているのは出塁することだね。

Q.ドイツ全体の野球環境、例えばインフラや選手のレベル、給与などについてどう思いますか?
A.この質問に対する答えだけで一冊本が書けるね(笑) 自分の大まかな考えを言わせてもらうと、ここドイツでは物凄く格差が大きいんだ。例えば、レーゲンスブルグのアーミンウルフベースボールアリーナは、マイナーリーグのゲームだってホストできるような立派なボールパークだけど、他の試合会場はそれが野球場だと認識することすらできないかもしれない。どんな場所でプレーできるかは、どのリーグでプレーしているかに大きく左右されるんだ。

 プレーのレベルについても全く同じことが言えるね。ブンデスリーガ1部の野球は本当にレベルが高いよ!!ここでプレーしているドイツ人の選手たちの中には、アメリカでもプレーできるだけの実力を持った人間がたくさんいるんだ。そのスタンダードは、下はNCAA1部から上は元マイナーリーガーまでの、非常にハイレベルなキャリアを持ったインポートの選手たちがもたらしたものだ。

 ただ、残念ながらドイツではあまり野球でサラリーを稼ぐことは期待できない。これもまた球団によって大きな差があるんだ。レーゲンスブルグ・レギオネーレのマルティン・ヘルミグ監督は、たった1人で僕らカージナルスの人件費より多い金額を得られるんだ。これについて語るという目的だけでも、インタビューを丸々一本セッティングできるはずだよ。

Q.あなたはオーストラリアでもプレーした経験があると伺いましたが、オーストラリア野球と比べてドイツ野球が優れていると思われる点はありますか?
A.ABLでの野球は、間違いなくドイツの野球よりも優れているよ。MLBがスポンサリングしているし、マイナーリーグのタレントがたくさんいるからね。ただ、各クラブが展開している野球のスタイルという面で言えば、僕はドイツの方が優れていると思うけど。もちろん、個々の実力で言えばオーストラリアの方が上だろう。でも、ゲームに対するアプローチの違いのおかげで、ドイツのチームの方がより勝利を得られていると思う。

 オーストラリアにいた時は、正直僕はチームのプレースタイルがあまり好きじゃなかったんだ。チームの誰もが、どんな時もできるだけ強くボールを叩いて、より遠くに飛ばすことにばかり主眼を置いていたからね。もちろん、それは非常に興奮を掻き立てられるものではあるだろうけど、そういうフリースインガー的なプレーでどれだけ得点を無駄にしたことか!!打席に立つ奴が皆強振することしか頭にないから、無死三塁のチャンスをふいにしたことなんか山ほどあるよ。ドイツではよりチームの勝利の為にプレーするという意識が強いし、そのために自分が何ができるかを皆考えながらやっているんだ。

Q.もしオーストラリア野球がヨーロッパ野球のロールモデルであるとしたら、ドイツ野球は近い将来その水準にたどり着けると思いますか?
A.ドイツ球界の一番の問題は、テレビ中継が一切ないことだね。だから、僕たちは巨額の支援をしてくれる大手のスポンサーを見つけられずにいるんだ。お金がなければインフラも整わないし、競技人口も増えては来ない。そして、これが選手のレベルを決定する要因にもなってしまっている。ここドイツでは皆、仕事をしながら野球をやっているんだ。毎週末に各地を遠征して試合をし、翌朝にはオフィスにいなきゃいけないとなると、ろくに休む時間もトレーニングに費やす時間も得られない。お金がなければ、その水準に到達するまでには長い時間を要するだろうね。

Q.あなたがゲームの中で最も素晴らしいと思う、現役のドイツ人プレーヤーを投手と野手で2人ずつ挙げてください。
A.多分この質問で意図されているのは、まだアメリカに行かずにブンデスリーガでプレーしている選手たちだろう。これから紹介させてもらうのは、ドイツ国内を代表する最高のドイツ人プレーヤーたちだよ。ただ、紹介するのは(自分がプレーする)北地区の選手たちに限定させてほしい。南地区のチームとはあまり試合をしないし、複数回プレーぶりを見ている選手の方がより評価しやすいからね。野球の成績ってのは、言うなればビキニを着た女の子みたいなものさ。非常に多くの物を見せてくれるけど、残念ながら全ては見せてくれない(笑)

 まず野手で挙げたいのは、ジェンドリック・スピアー(パダーボーン・アンタッチャブルズ)だね。素晴らしい守備の技術の持ち主であり、とてもスマートな選手だ。彼は難しいプレーを簡単に見せてしまう、数少ない選手の一人だと思う。それをやってのけるのはスペシャルだよ。もう1人は、彼のチームメイトであるビョーン・ショーンローだね。彼は物凄いパワーの持ち主で、うちの投手たちは昨シーズンことごとく彼の餌食にさせられてしまった。

 投手で挙げたいのはアンドレ・ヒューズ(ゾーリンゲン・アリゲーターズ)。素晴らしい制球力の持ち主で、簡単に相手をゴロに打ち取ってしまう。彼はどんな打者であろうと、ファウルで粘ることを決して許さないんだ。もう1人は、スピアーやショーンローのチームメイトであるダニエル・ハインツ。彼の速球の質は卓越しているよ。去年はマウンドではもちろん打者としても素晴らしい成績を残して、北地区のMVPにも選ばれたんだ。

Q.あなたは野球と並行してどんな仕事をしていますか?セミプロとしてプレーするのは大変?
A.もちろん大変さ!!僕は本当に野球を愛しているし、できることならもっと時間を割きたいよ。普段はビジネスコンサルタントの仕事をしているんだ。野球に費やすべきエネルギーや時間の多くが持っていかれる職種だね。

Q.カージナルスのウェブサイトであなたが31歳だと知りましたが、ドイツではドミニク・ウルフ(元アリゲーターズ)やクラウス・ホプフェンスペルガー(元レギオネーレ)のように、30歳前後で現役を引退してしまう選手が多いですよね。このテーマについてはどう考えていますか?
A.これは、選手誰もが下さなければならない決断だと思う。それぞれ状況が異なるから軽々しくは発言できないね。僕自身のことについて言えば、チームのために働ける限りは現役を続けるつもりだよ。まだまだ僕にはやるべきことがたくさんあるし、プレーし始めるのが遅かったから今でも成長し続けているんだ。もちろん、年を取るたびに練習に工夫や規律が必要なのは言うまでもないね。ワークアウトに対してはより積極的でなければならないんだ。

Q.ブンデスリーガでの「アメリカ旋風」についてはどう見ていますか?例えば、オールスターゲームに出てくるのはドイツ人よりもアメリカ人の方が多い印象を受けますが…。
A.各球団は彼らに給料を払っているからね。もし彼らがオールスターに出られなければ、その投資は失敗だったということになってしまう。実際には、文字通り圧倒的な数字を残せる助っ人は少数派になっていると思うよ。過去にプレーした選手が、リーグ全体のレベルを引き上げてくれたからね。より優れた選手になるためには、より強い相手と対戦するのが唯一の道なんだ。

Q.既にアメリカのマイナー、あるいはメジャーでも何人かのドイツ人選手がプレーしていますが、日本球界でのプレーを望んでいるドイツの選手はいると思いますか?
A.もし僕と契約してくれたら、翌週にはそっちにすっ飛んで行くよ!!日本球界でプレーしたいと願っているドイツ人は、間違いなくそれこそ数えきれないほどいると僕は思う。国そのものも刺激的で素晴らしいし、野球のレベルも本当に高くスマートだ。もし君の国でプレーできるチャンスを掴めたなら、きっとほとんどの選手が誇りに感じるだろうね。

Q.もし近い将来、NPB経験者がブンデスリーガの球団に入るなんてことがあったら、どんなことが起こると思いますか?
A.そういう選手たちが自分の国の、あるいは自分の国の野球の代表として僕たちのリーグに来てくれたら、それは素晴らしいことだと思うよ。お互いの野球の経験をぜひシェアしたいね。彼らからは、きっと学べることがたくさんあるはずだ。

Q.ヨーロッパの国々、例えばオランダ・イタリア・ドイツ・スペイン・チェコ・スウェーデン・イギリス・フランスのクラブを集めて、全ヨーロッパ規模のプロ野球リーグを作るというアイデアについてはどう思いますか?将来的に実現の余地はあるでしょうか?
A.うーん、少なくとも近い将来に実現することはないだろうね。もちろん、実現できたならそれは野球というスポーツにとって物凄いインパクトを生むだろう。ただ、残念ながら各球団の財務状況が、それを具現化できるだけの状況にはないのもまた事実だと思う。

Q.2009年のW杯、あるいは2012年のWBC予選で1万人もの観客を集められたのは、何が要因だったのでしょう?ヨーロッパの人々を、野球に惹きつけるために最も必要なのはなんだと思いますか?
A.人々がもっとこの競技に触れる機会を増やすべきだし、実際に触れた時にこの競技が魅力的な存在だと思われなければいけない。繰り返しになるけど、メディアが注目してくれることが一番のカギなんだ。そうすればもっと多くの人々が目を向けてくれる。より高い注目を集めることは、より多くのスポンサーを生むことにもつながるんだ。過去の質問でも答えたように、この状況を打破するのはやはりお金だろうね。

Q.今、僕は国際野球支援団体ベースボールブリッジの代表として、いわゆる野球マイナー諸国における野球の発展を支援する活動に取り組んでいます。もし、自分たちのような日本の野球ファンがドイツ野球に何かできることがあるとしたら、それは一体どんなことでしょうか?
A.難しい質問だね。とにかく、マイナーな国の野球をより多くの人々に知ってもらうことが必要だと思う。多くの人々にこれらの国々における野球の現状を伝えてほしい。もし海外で事業展開している日本企業があったら、彼らにスポンサーになるよう働きかけてほしい。そして、ドイツのプロ野球球団のサイトや、選手のツイッターアカウントのフォロワーを増やしてもらいたいかな。

Q.最後に、もし野球をやっていなかったとしたら、あなたはどんな人生を送っていたと思いますか?
A.正直に言おう。そんなこと想像したくもないね!!(笑) どうして、自分の人生に野球をプレーすることを選べないっていうんだい?

 今回インタビューに応じてくれたメンデル選手は、たまたま俺のTwitterでのフォロワー同士だったことがきっかけで関係がスタートした間柄。本人は、日本にもドイツの野球を気にかけてくれる人物がいるということを、非常に心嬉しく思ってくれているようで、近況報告でも触れたとおり「絶対にドイツに来い!!」と熱心に誘ってくれました。こちらとしても、こんな見ず知らずの日本人にここまで真摯に向き合ってもらえてありがたい限りです。本当に彼には感謝してます。いつかは実際に彼に会いに行きたいな。

 メンデル選手自身は、俺の知る限りまだドイツ代表でのプレー歴はありません。ただ、だからこそ世界の華々しい舞台で戦うトップ選手とはまた違う、独自の視点を自分たちに提供してくれたと思っています。こういう選手たちの生の声を聞けるのは、めったにない貴重な機会。読者の皆さんにも、彼の言葉から何かを感じ取ってもらえたら非常に嬉しいです。

 そのついでと言ってはなんですが、彼は今Twitterでキャンペーンを実施中で、フォロワーが1000人に到達した暁にはその中の1名に、試合で使ったカージナルスのサイン入りジャージをプレゼントするそうです。彼自身は今回の俺との接触をきっかけに、日本人のフォロワー数増加も心待ちにしている様子。日本人が当選すればもちろんケルンから日本に届けるうえ、サイン入りジャージの他に特別にサインボールもつけるとのことです。Twitterアカウントをお持ちの方、損はしないので是非彼のアカウント(@merlin_mendel)をフォローしてみては?本人は生粋のドイツ人ですがツイートは全て英語なので、ドイツ語ができなくても安心ですよ(もちろん冷やかしは厳禁で!!)。

 最後になりますが、改めてメルリン・メンデル選手のご厚意と協力に心から感謝します。メンデル選手、並びにケルン・カージナルスの2014年シーズンにおける健闘を祈ります。Vielen dank, Mr. Mendel!!(メンデル選手、本当にありがとう!!)
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テーマ : 野球全般
ジャンル : スポーツ

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野球があまり盛んではない国々(野球マイナー諸国)への野球用具の送付や啓発イベントの開催、その他様々なプロジェクトの実施を通じて野球競技の国際的普及とメジャースポーツ化を目指すNPO法人です。現在新メンバーを鋭意募集中です。参加希望の方はrecruit@baseball-bridge.orgまで!!

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