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レーゲンスブルグ・レギオネーレ(ドイツ) イバン・ロドリゲス監督インタビュー

※今回の記事は、代表の田中が運営するブログ「欧州野球狂の詩」からの転載となります。

 昨シーズン、久々にドイツ・ブンデスリーガでのタイトルを逃すこととなってしまったレーゲンスブルグ・レギオネーレ。復活を期す名門が今年新たな指揮官として迎え入れたのが、オランダジュニア代表などでも指導にあたっていたベネズエラ出身のイバン・ロドリゲス監督でした。ロドリゲス氏については、以前もこのブログにてミスターベースボールが実施したインタビューの翻訳記事(http://ameblo.jp/systemr1851/entry-11936566349.html )を掲載していますが、今回は何とご本人からの依頼により独自の取材をさせてもらえることになりました。

 今回はそのロドリゲス監督への質問とその回答への数々を、ここでご紹介したいと思います。昨日の段階では「一週間くらい時間をくれ」と言っていたのが、自分からの質問に答えるのが楽しすぎて結局現地時間今朝の午前1時まで起きていたというロドリゲス氏。そんなおちゃめな(?)指揮官へのこのインタビューが、読者の皆さんに取って非常に意義あるものになってくれたら嬉しく思います。結構分量があるので、合計3つほどのセクションに分けてお届けするつもりです。それでは早速、レギオネーレにまつわる質問をぶつけた第1部をどうぞ。

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(イバン・ロドリゲス監督(右から2人目))

―:既にレーゲンスブルグ入りされているとお伺いしました。昨年にも、記者会見に出席するためにレーゲンスブルグには既に行かれていますが、その時と比べてご自身のメンタルやチームの状況に何か違いはありますか?
ロ:それほど大きな違いはないね。レーゲンスブルグには去年の11月14日に来て、それ以来週6日ブンデスリーガに参戦している一軍と、アカデミーの子供たちの両方を教えているんだ。私の指導の根幹にあるのはハードワークと規律だ。自分は本当に素晴らしいコーチングスタッフに恵まれているし、選手たちは今までにないくらい練習に励んでいるよ。その成果は徐々に見えてきているんだ。

―:ブログ読者の皆さんに、改めてクラブの紹介をお願いします。
ロ:レーゲンスブルグ・レギオネーレは、バイエルン州レーゲンスブルグに本拠を置く野球とソフトボールのクラブだ。ドイツのレンタカー会社で、現在の球団スポンサーでもあるブッシュビンダー・オートモービル社の名前を取って、ブッシュビンダー・レギオネーレ・レーゲンスブルグとも呼ばれているよ。1987年に創設され、現在我々の一軍はブンデスリーガ1部でプレーしている。

 レギオネーレの本拠地であるアーミンウルフ・ベースボールアリーナは、ヨーロッパでもベストかつ最も重要な施設と位置付けられているボールパークの1つだ。1996年にレーゲンスブルグに建てられたこのスタジアムは最大で1万人の収容能力を持ち、2009年のW杯と2013年のWBCヨーロッパ予選、そして昨年のヨーロッパ選手権のホストとなった。又、MLBが運営するアカデミーの大会もここで開かれている。現在球団では、オフィスと寄宿舎を建設する新たなプロジェクトを推し進めていて、これには事務やクラブハウス、第2球場も含まれている。これらは、ヨーロッパ球界における新たなスタンダードを手に入れるためのパズルの最後の1ピースであり、その入手によってさらに上のレベルに行けると確信しているよ。

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(写真上:本拠地のアーミンウルフ・ベースボールアリーナ。写真下:2010年にドイツ王者に輝いた時の写真)

―:レギオネーレはエバン・ルブランルドウィグ・グラサークリス・ハワードといったスラッガーを揃えた、重量打線が売りのチームだと自分は見ています。今年もこのチームカラーはほぼそのまま受け継ぐのでしょうか?それとも、何か新しい色をチームにつけようと考えていますか?
ロ:今年も彼らには自分たちの打撃をしてもらいたいと思っている。私はアグレッシブに、攻撃的にゲームを戦うのが好きなんだ。より積極的に走塁を仕掛けて走者を塁に置くこと、それによってしか得点を重ね勝つことはできないからね!!自分のチームのたった1人の活躍だけに依存して勝つのは好きではないんだ。もちろん、自分たちが何をできるかは見てみる必要はあるが、アグレッシブにプレーできる力があるなら私はそれを選ぶよ。

―:このオフシーズンは、ビッグネームがそれほどチームに加わらなかった印象があります。今オフの補強をどう評価していますか?
ロ:私のチームは、去年からさほど大きくは変わらないものになる予定だ。もちろん、何人かの選手は学校や仕事の関係で現役生活をストップしたけれど、彼らが抜けた分は新しい血を補うつもりでいる。しかし、こうした新しい選手たちもブンデスリーガで戦える事を証明し、ラインナップを自ら勝ち取らなきゃならない。チームには素晴らしいタレントを持った選手たちがたくさんいるから、そのチャンスが生まれた時に彼らにも出番が来るだろう。

―:ミスターベースボールによるインタビューでは、あなたは若い選手たちに対してハードワークを促すと仰っていましたね。それ以外に、彼らをスタメンとして登用するか否かを決める基準のようなものはありますか?
ロ:コミットメントとプライドだね!!ブンデスリーガのレベルは年々上がっているから、彼らはレーゲンスブルグ・レギオネーレの一員としてプレーできることを本当に誇りに思わなきゃいけない。一方で、自分たちがどういう立ち位置にいて、どんなことをこれから経験しようとしているのかについても学ばなきゃいけないんだ。

―:もしリーグタイトルを獲得するうえで、何人かキープレーヤーを挙げてほしいと言われたら、誰の名前を挙げますか?
ロ:個人の選手の名前を挙げることはしないよ。もちろん、我々のチームには根幹を支えるキープレーヤーが何人かいるし、MVP級の力を持っている者もいる。しかし、私は全ての試合においてスタメンの9人とベンチのメンバーが、一緒になってチャンピオンシップを目指さなきゃいけないと思っている。我々は常に一緒だし、知っての通り野球は個々の選手たちのハードワークによって成り立つ団体競技だからね。

―:レギオネーレはここ数年、ドイツ球界において王朝を築き上げ続けてきましたが、残念ながら昨シーズンは非常に難しいものとなってしまいました。また、同じ南地区のハイデンハイム・ハイデコッフェやシュツットガルト・レッズなどのライバルチーム、さらに北地区のクラブもかつてないほどレベルを上げています。一般論として、そしてチームの指揮官としてこういった状況をどのように見ていますか?
ロ:これこそが、球団が私を雇った理由の1つだろうね。我々はドイツで最もベストな野球チームの1つであり、それにふさわしいポジションに戻ることが何より大事だったんだ。もちろん、君が言うとおり他の球団も物凄く力を伸ばしているから、それを成し遂げるのは決して簡単なことではない。それでも我々はそれを成し遂げるつもりでいるし、最も重要なのはレギオネーレというクラブはプレーオフを勝ち抜くのに、他球団のように7人もの外国出身者をロースターに加える必要はないということさ。

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―:レギオネーレは今年、コーチングのスタイルを大きく変えましたね。見たところ、今年から導入された人員配置は日本球界で広く採用されているものと似ているように見受けられます。ひょっとして、この改革には日本野球からインスパイアされたものがあったのでは?
ロ:その通りだよ!!日本は国際球界を文字通りリードする存在だし、元々私はより良い結果をもたらすための新しい仕組みを作るのが好きなんだ。例えばガーナに行ったとしてもそこで何か自分たちにとって参考になるものを見つけられるだろうし、それを持ち帰ってうまく取り入れていくことはできる。野球はグローバルなスポーツであり、君たち日本人は本当によくやって結果だって出している。ならばそのやり方をヨーロッパで導入してみてもいいはずだろ?

※ヨーロッパでは従来、チームの首脳陣は監督、投手コーチ、打撃コーチ、そして2人のアシスタントコーチにより構成されるのが主流となってきましたが、今季のレギオネーレではロドリゲス監督が内野守備コーチ、クリス・ハワード捕手が捕手コーチ、そしてステファン・ミュラー・ストレングスコーチが外野守備コーチをそれぞれ兼任することになり、NPB球団と近い指導方式がとられることとなりました。

―:地元レーゲンスブルグの観客についてどう思われますか?彼らはこの2015年シーズンを勝ち抜くための力となってくれるでしょうか?彼らに対するメッセージを是非。
ロ:我々のファンはとても大切な存在だよ。彼らは本当にチームを支えてくれている。そのことに誇りを持っているし、何より野球というゲームをよく知っているんだ。まさに10人目の選手と呼ぶにふさわしい存在だよ。私はテレビで、W杯やWBC予選やヨーロッパ選手権での彼らの姿を見てきたけれど、彼らはまさにスタジアムにおいて自分たちが必要とする存在なんだ。彼らはまさにダイハードなファンなんだよ、イタリアにもいるみたいなね!!オランダにさえ彼らのようなファンはいないだろう。オランダでも、スタジアムが満員になるのはファイナルであるオランダシリーズの時くらいさ。私はこの街の人々は、他のどのヨーロッパの国々よりも優れたスポーツマインドを持っていると信じているよ。

(外国人として見たヨーロッパとそこで展開されている野球について)
―:あなたはご自身の母国であるベネズエラで仕事をした後、ヨーロッパに渡ってらっしゃいますね。欧州とベネズエラの野球の、最も大きな違いとはどんなことでしょう?
ロ:ヨーロッパの野球は、あまりにもアメリカ寄りになりすぎているよ!!攻撃的な走塁やスモールボール的なアプローチは、私はヨーロッパでは見たことがない。もちろん、ヨーロッパにおいても非常に素晴らしい打線を持つチームは存在するが、それらは優秀な選手を手に入れてパワフルな打線を構成できるだけの、優秀な財力を持つ限られた3つか4つのチームに限られる。もちろん、破壊力満点の打線を君が構成できる力があるならそれで全く問題はない。しかし、こうしたモンスター級のチームと対峙することになれば何か他に工夫をしなければいけないはずだが、そうしたものを私はあまり見たことがないんだ。

 ヨーロッパのチームの練習は、さながらアメリカで行われているものを見ているかのようだ。球場に来てから何球かのキャッチボールをして、打撃練習で20球打って家に帰っていくだけというルーティンには、本当に(悪い意味で)驚かされた。もちろん、幸いにもそれはここ数年変わりつつあるけれどね。私はオランダで、オランダジュニア代表の指導という仕事をすることができた。今まで自分が見ていたのとは違う練習スタイルが根付き始めていたのを見られたのは嬉しかったよ。

 それと、我々ベネズエラ人にとっては文字通り野球は全てなんだ。我々は本当に野球というスポーツに対してハングリーだし、MLB球団との契約を勝ち取るためにあらゆる手を尽くそうとする。残念ながら、ベネズエラは決して裕福な国ではないからね。ベネズエラという国において、プロ野球選手という肩書は物凄いステータスなんだよ。医者や教師、ビジネスマンであること以上にね。ここヨーロッパではしかしそうではないんだ。まず自分のキャリアを他に確保しておいて、もし選手として契約してもらえたらそっちに専念するというのが一般的な流れになっている。このスポーツをプレーしている選手の多くにとって、まだ野球はあくまでも趣味の延長線上にあるものであって、完全に仕事としては根付いていないということなのかもしれない。

―:そもそもベネズエラからオランダに渡られた理由とはなんだったのでしょうか?
ロ:主な理由は、より良い仕事の機会を探すことだった。ベネズエラは10年以上にもわたって危機的な状況にあり、そこで多くの機会がありフレンドリーな国としてオランダに照準を定めたんだ。自分にとってはとても素晴らしいキャリアを捨てて、成功するかもわからない冒険に出たようなものだったよ。幸運にも私は結婚して、今はL&Dアムステルダム・パイレーツでプレーしている息子も手に入れることができた。この国の野球はとても速いスピードで進歩を続けていて、自分も何かしらその助けになれると信じている。オランダ王立野球・ソフトボール協会のタレント発掘コーチである、マルティン・ネイホフと仕事ができているのは物凄くラッキーだよ。

―:一般的に言って、南米と欧州では生活習慣が全く異なりますよね。適応するのに難しさを感じたことはありますか?もしそうであればそれはどんな点で、どうやってそれらを克服してきたのでしょうか?
ロ:私は色々な国で生活してきたから、正直それほど難しいことではなかったよ。もちろん、言葉と食べ物には適応しなければならなかったけどね。ただ、私の妻が非常に多くのサポートをしてくれたし言葉も教えてくれた。今でもそうだよ!!フラストレーションがたまったことと言えば、例えば買い物に行って人々にオランダ語で話しかけた時、彼らが私を気遣って英語で返してくる、なんてことかな。もちろん、彼らが私を助けようとしてくれていること、そしてオランダ人が本当に英語に堪能であることはよく知っているけれど、自分にとっては決してそれがいいことというわけでもなかったんだよ。まぁ、オランダではどこに行ってもそんな感じだったけどね。

 それと面白かったのは、オランダ人たちの会話の輪に私が参加しているとき、彼らが自分たちが何をしゃべっているのか私にも理解できるように、オランダ人同士でも英語でずっと会話していた時だね!!ドイツではあまりそういうことはないんだ。ドイツ人は逆に、私が同じテーブルについていてもドイツ語で話し始めるから、そういう時はちょっと部外者みたいに感じたりすることはある。ただ、ドイツ語を学ぶ上では結果的にその方がいいのかもしれないね。今はドイツ語の勉強もはじめているんだけど、オランダ語の単語と似ている部分も結構あるんだ。ただ、チームでは基本的に英語で話しているし、オランダ人エースであるマイク・ボルセンブロークとは今でもオランダ語を練習しているよ。

―:欧州野球とかかわりを持ててよかったこととはどんな点でしょう?
ロ:「カリブ流」の指導スタイルで野球を教える機会を得られること、そしてそこに私の経験とこのゲームへの愛情を持ち込むことができることだね。

―:海外に渡航し、そこで生活を始めようと考えている読者に対して、何かアドバイスはありますか?
ロ:なるべく早い段階でヨーロッパの生活に適応すること、自分にとって居心地がいいと感じる、自分自身の母国出身者が集まるコミュニティという狭い枠の中に自分を閉じ込めないことだ。もちろん、海外にいると自分の母国から来た人々と話すのは楽しく感じられる。しかし、自分自身をその国に適応させることができれば、よりその国に対する優れた知識を手に入れることができるんだ。

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(レギオネーレのスポンサーであるブッシュビンダー・オートモービル社のロゴ)

(日欧野球について)
―:この3月、侍ジャパンが欧州選抜とフレンドリーマッチを計画していますよね。これについては率直にどう思われますか?
ロ:野球というスポーツ自体にとって素晴らしい機会だ。今、野球界がグローバリゼーションの時代を迎えているということを思い出してほしい。こうしたイベントは、我々のスポーツにとって物凄く大きなものを与えてくれるだろう。今や、野球をプレーしているのはアメリカとアジアと中南米だけじゃないんだ。ヨーロッパも、オーストラリアも、アフリカも、皆この世界でベストなスポーツをプレーしているんだよ!!

―:このニュースは既に現地ではオンエアされているのですか?球界での反応はどのようなもので、この試合はどういった扱いを受けているのでしょうか?
ロ:今、それに向けて色々と動いているところだよ。既にニュース自体はコミュニティの中に広まっている。ただ、我々は現段階では連盟がオフィシャルな声明を出すのを待っているところなんだ。そうすればもっと色々と話すこともできるが、残念ながらまだその段階ではないね。

―:このイベントはヨーロッパ球界にとってどんな意味があるでしょうか?例えば、より多くのヨーロッパ人選手が日本球界でプレーできるようになるきっかけになると思いますか?
ロ:間違いなくそうなるだろう。今後はより多くのヨーロッパ人選手がアジア球界でプレーすることになるはずだ。ヨーロッパ人選手がこれまでにはなかったようなクラブからも注目してもらえるよう、いいプレーをしてくれることを祈っているよ。

―:ある日本のメディアは、「欧州選抜はレベルが低く、日本代表の選手にとっては故障のリスクがあるのでこの試合には反対だ」という立場を表明しています。あなたのオランダとドイツでの経験をもとに、是非これに対する反論を頂けますか。
ロ:メディアの連中ってのはいつもこうなんだよ!!初めてWBCが導入された時も、同じようなコメントがオンエアされて世界中を飛び回ったものさ。全てのMLB球団は大会に選手を派遣したがらない、何故なら時期が早すぎて故障のリスクがあるからだ、とね。もし選手たちに声を書けたなら、彼らは出場したいかという問いに対して間違いなくイエスと答えるよ。なぜなら、自分の国のためにプレーするのは怪我への恐怖より、はるかに大きな意味を持つことなんだからね!!

 ヨーロッパでも、実を言えば早い時期にプレーを始めるのはそう簡単なことではないんだよ。なぜならこっちにはドーム球場がないから、私たちはバスケットボールコートでインドアトレーニングをこなさなければいけないんだ。でも、我々は全てのトーナメントに参加したいと思っているし、そこで最高のプレーをするために最善を尽くしたいといつでも思っているよ。

―:今回は2試合若しくは3試合が行われると聞いています。今回のシリーズではズバリ、どんな結果を期待しますか?
ロ:率直に言って、今回は君たちの代表チームの方が実力的に遥かに格上だ。スプリングトレーニングの関係で、アメリカでプレーしている面々も参加できないだろうしね。ただ、具体的にどっちが何勝するか、結果がどうなるかという予想は立てたくないな。なぜなら、どんなことだって起こり得るんだからね。1つだけはっきり言っておくのは、我々のチームは自分たちのベストをこのシリーズで尽くして、君たち日本人が思っている以上にずっと難しい試合にするつもりだということだよ!!

―:今回は欧州側はオールスターという編成ですが、ゆくゆくは欧州の代表チームが単独で日本代表と対戦できる機会も来ると思いますか?
ロ:そういう機会をぜひ見てみたいね。ヨーロッパの代表チームが、W杯のようなイベントとは違う形式で日本代表と今後戦う機会がどんどん増えてほしい。これは我々のレベルを新たな次元に引き上げるための素晴らしい機会となるだろう。とはいえ、全ての連盟がこれを実現できるための財力を持ってるわけでもない。もし野球とソフトボールがオリンピックに戻ることができれば、欧州各国の連盟はこうしたイベントにより頻繁に参加できるだけの財力を手に入れられるだろう。そこに関しては全く疑っていないよ。

(野球界の未来について)
―:ヨーロッパ野球はここ最近物凄いスピードで成長を続けていますが、依然として小さなスポーツであることに代わりはなく、まだまだクリアしなければならないことがたくさんあるように思います。ブレークスルーを果たすためにはどんなことが必要でしょうか?
ロ:世界に、スポンサーに、そして企業に対して野球がグローバルなスポーツであると示すことだ。サッカーの3部や4部のチームにさえ多額の金が投資され、それに対して野球のトップリーグがその1%程度しか資金を得られないなんて馬鹿げてるよ。仮に、ヨーロッパ野球が今サッカー界が手にしている財力の半分でも手に入れられたなら、状況は劇的に変わるはずだ。

 オランダは世界的には小さな国であり、我々はサッカーよりもいい結果を過去にも現在にも残し続けてきたにもかかわらず、その事実を知る人はまだ少ない。オランダは昨年のヨーロッパ選手権で優勝を果たしたが、その結果を報じた新聞を読んだときは悲しかった。野球オランダ代表が優勝した時、そのニュースはオランダ国内の大手の新聞に1面で取り上げられたけど、その記事は100の単語にも満たないくらいの小さなもので写真も貼ってなかった。それに対して、より多くのスペースを割いて大きな写真も掲載されたのは、(具体的にどのクラブかは忘れたけど)オランダを代表するサッカークラブがリーグ戦で負けた、という物だったんだ!!私は、オランダ野球がメディアで取り上げられる機会はどんどん増えているけれど、まだ十分ではないと思う。我々が欧州諸国でやっていることに対して、もっとリスペクトとサポートが欲しいんだよ。

―:もし、ヨーロッパに年間100試合超の試合をこなすリーグを立ち上げるとしたら、そのためにどんなものが求められるでしょうか?
ロ:ドーム球場だね。そうすればもっと長く、冬にだってプレーすることができるようになるだろう。そうでなければ実現するのは不可能だと思う。残念ながらまだこの大陸での野球はプロフェッショナルではなく、選手たちは職場や学校に通いながら週末に試合をしているんだ。選手全員が週に4試合も5試合もプレーできるような状況にはない。彼らは仕事に行ったり、また将来的に社会人としての生活を送るための準備として学校に行かなきゃならない。残念なことに、それが今の唯一のオプションなんだ。

 あるいは、各クラブがもっと大規模な財政的サポートを受けて、選手たちをプロとして雇えるようになることだね。それがプロフェッショナルたるために必要なことだ。おそらく、野球だけで生計をたてられているという選手は全体の10%にも満たないんじゃないかな?

―:ヨーロッパ中のトップクラブを集め、年間100試合以上をこなす「ユーロピアン・ユナイテッド・ベースボールリーグ(EUBL)」のようなアイデアが実現する日が、いつか来ると思いますか?
ロ:非常に素晴らしいアイデアだと思うが、その実現には多額の資金が必要だし今はそういう時期ではない。残念なことに、スポンサーが撤退して財政的に厳しい状況を向かているクラブは少なくないんだ。もちろん非常に夢のある話ではあるけれど、やはりスタジアムと資金の問題をまず解決しないといけないね。

―:現在、我々ベースボールブリッジはヨーロッパのトップ選手に対する日本球界の移籍支援事業に着手しています。これはヨーロッパ球界に対してどんな影響をもたらすと思われますか?
ロ:暗いトンネルの中にいる選手たちに対して、光をもたらしてくれることだと思う。競技人口が年々増えていることもあって、MLBでプレーするのはここ最近難しくなっているんだ。ヨーロッパ人の選手たちが夢を見る、その夢を実現するための機会を与えてくれる、とても重要な活動だと思うよ。

―:もし我々日本人がヨーロッパに飛んで、既にヨーロッパ球界で働いている人々とともにその発展のためのお手伝いをできるとしたら、どんな形での協力が考えられるでしょうか?
ロ:既に日本において野球界をサポートしている企業に、そのネットワークを生かして欧州球界に対しても投資するよう促すことだね。それと、日欧両球界を選手たちが行き来できる仕組みを作ること。これは非常に大きなステップとなるだろう。しかし、選手たちだけではなく指導者の養成も大切なんだ。もし日本人指導者をヨーロッパに招くことができれば、そこで得られた情報を選手たちに還元できるから非常に意義があることだ。同様に、ヨーロッパ人の指導者が日本に研修に行くこともとても大切なことだと思う。

―:西暦2045年におけるヨーロッパ球界をイメージしてみてください。どんな世界が見えますか?
ロ:その世界を実際に見るために、自分が地球上にまだ生きながらえていることをまず祈りたいね(笑) その時、きっと野球界は完全に国際化を成し遂げているだろう。一年中世界的な規模でリーグ戦が展開され、毎週末に世界のどこかで代表戦が繰り広げられている。W杯みたいなものだけど、それが1年間という長いスパンで行われているんだ。もちろんその頃には私は引退して、自分の息子が現役の最晩年を迎えているか、もしくは既に指導者に転身しているところを見ているだろうね。

 どちらにせよ、ファンタスティックな世界だと思うよ。小国が大国を倒すのが当たり前になっているような世界を是非見たいものだね。現在の世界ではまだ野球というスポーツをプレーしていなかったり、どんな競技か知らないような国々が、当たり前のようにW杯のような国際大会に出場して戦っているのさ!!

―:どうもありがとうございました。今シーズンの躍進をお祈りしています。

 第1部にも書きましたが、今回のインタビューはロドリゲス氏自身がわざわざ先方から要請して時間を割いてくれたものでした。そもそも、ヨーロッパの現場にいる人々にインタビューできること自体が物凄く貴重な機会なんですが、昨年こそ不調だったものの過去10シーズンで7回タイトルを獲得しているドイツの超名門チームの指揮官に、それも本人からのリクエストで取材ができたというのはなんだかもう、色々と超越しすぎてます。世間的にはなんてことない3本のブログ記事かもわかりませんが、俺個人としては本当にとてつもないことです。まずこういう機会をもらえたことに、本当に心から感謝したいと思います。Gracias, Ivan!!

 そして、1つ1つの質問に対しても非常に真摯に答えていただきました。自分としても聞きたいことが多すぎて、合計26問というかなりの質問数になってしまいましたが、返ってきたのはとても貴重な意見ばかり。1人の欧州野球ファンとして、野球の国際的発展の為に活動するNPOの代表として、学びがとても多かったと思います。これまで取り上げてきた「指揮官は語る」シリーズの中でも、今回の取材は特にやれてよかったと思える企画になりました。読者の皆さんにとっても、この3本の記事が何かしらを残してくれるものになってくれたら、心から嬉しく思います。
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Author:baseball-bridge
野球があまり盛んではない国々(野球マイナー諸国)への野球用具の送付や啓発イベントの開催、その他様々なプロジェクトの実施を通じて野球競技の国際的普及とメジャースポーツ化を目指すNPO法人です。現在新メンバーを鋭意募集中です。参加希望の方はrecruit@baseball-bridge.orgまで!!

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